やたらにぬくい秋の近況報告2021
一旦はコタツを出したものの、11月に入ってからやたらと暖かく、職場では腕まくりして汗をタラタラ流しながら働いています。京都では最近、今秋2度目の金木犀が香ってきました。
最近のビッグトピックは、何といっても妹に子どもが産まれたことです。軽い気持ちで名付け親になってしまい、責任重大。無事気に入ってもらえるものが出せてよかったです。残念ながら新生児のうちに会うことは叶わなさそうですが、今後の大きな楽しみが出来ました。名実ともに、もう立派な「おばちゃん」です。
今日は最近読んだ本、『自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界』(サラ・ヘンドリックス 著 堀越 英美 訳|河出書房新社)を紹介します。

この本はこのような書き出しで始まります。
「歴史的に、自閉症は主に男性の障害であるとみなされてきた。」
わたしが自閉スペクトラム症=アスペルガー症候群(以降ASD)とADHDの両方の発達障害とわかったのは、今から2年ほど前のことです。そのとき医師は「そう言い切れるようになったのはこの2,3年くらいの研究でわかってきたことのおかげ」と言っていました。
これまで、女性のASDは男性に比べ圧倒的に少ないとされきました。しかし最新の研究では、同じASDでも、男性と女性の症状には性差があることがわかっているそうです。
ASDの女性は、社会に馴染みたい、悪目立ちしたくない、コミュニケーションをちゃんとしたいという意欲を持ち、まるで四角い穴に丸いロープを通すような、無理のある努力を自らに課します。そのため、表面上はギリギリ「ふつう」に見えても、実は社会に対応できていないASD女性は少なくありません。その多くは適切なサポートを受けられないまま、個人(と家族)による過度な努力だけで困難を乗り越えざるを得ないのが現状です。
わたし自身、思い出したくもない、あまりにたくさんの犠牲を払って今があります。この本の著者は「排水路に捨てられることなくここまで生きてこられたのは奇跡」と語っていますが、わたしも同じ様に思います。排水路に捨てたも同然のことを自分自身に対して山ほどしてきました(もしそれが意外に思えたら、わたしの素晴らしい努力と数々のラッキーの賜物です)。
ASDに特効薬はありません(ADHDはあります)が、うつや不安、自殺願望などのASDによる二次障害をマシにすることはできます。
わたしの場合、適切な投薬のおかげで、こうして今皆さんと関わりが持てているのは間違いありません。それに、発達特性による苦手な状況を回避することや、自分の努力の限界を理解することで、逆に特性を活かすことに専念する状況ができつつあります。
家族は、誤解されるから自分でこういうことは言わないほうがいいと言います。でも今まで周りの人にうんと誤解され、自分でも誤解してきたので、これくらいの「誤解」はわたしにとってはそんなに問題ではありません。それよりも、同じような悩みを抱える人へ、自分をよく知るためのヒントになれば幸いと思ってお知らせしました。
この本には、ASD女性が人生を通じて直面する困難、その理由、対策法などが書かれています。
ここに書かれているすべてのことがあまりに自分に当てはまるので、わたしにとってはとても苦しい読書になりました。でも読めてよかったです。また、ご自身がASD女児の母という堀越英美さん(『群像』のケア特集の寄稿もよかった)によるユーモアたっぷりの訳で読めたことも大変ありがたい幸せでした。
この本は、自分のことがはっきりとASDと言えなくても、また男性でも、これまであったつらい経験の慰めになったり、これからの人生のガイドになるのではないかと思います。自分をよく知り、チャレンジを楽しみつつ自らの限界を認め、避けられる無理をしないことは、どんな人にとっても幸せに生きるための方法だと思うので!
ここまで読んでくれた人へ、おすすめの本です。