2023-02-21

2023年2月21日の当用雑記

体脂肪率が25%を切った。「そんなにあったの?」と訊かれ、浮足立った気持ちが地面に着いた。そんなにあった。長い間ずっと。でも高校生の頃はそうでもなかったような気がする。あの頃は体重とカロリーのことばかり考えていた。年がら年じゅう同級生とダイエットレースをしていた。

体脂肪が減って驚いたのは、生理が来てもほとんど浮腫まなくなったことだ。顔も、足も、胴まわりも。全く「いつもと同じ」で過ごせる。ミレーナを使っているにせよ。

それまでは本当にひどかった。生理のときは水に濡れたスポンジを全身に着てるみたいで、特に胴まわりは、いつも履いているズボンやスカートがきつくて入らないほど膨らんだ。ウエストがお腹にめり込んで、苦しくて、何度も気分が悪くなった。

生理中は、何の臓器が痛むのかわからないほどお腹じゅうが痛くなる。子宮か、胃か腸か。あっちからもこっちからも排泄物が垂れ、出しても出してもなかなかトイレから出られない。もうお腹の中は空っぽだと思うまで絞っても、ズボンやスカートのウエストはめり込んでくる。それだけひどく浮腫んでいた。そんなことが一切なくなった。

体のことだけじゃない。体脂肪が減って、何をするにも気負わなくなった。「えいや」と思わずとも自然に体が動く。仕事がこなせる。話を切り出せる。おしゃべりが楽しくなった。気づけば人の顔色を伺うことはなくなっていた。

オープンマインド。それは、心底「他人のことがどうでもいい」状態。だと思う。他人の顔色を見ることがなくなったら、自分の気持ちを包み隠さず伝えられるようになった。話が広がらなくても、話がそこで終わっても問題ない。気が楽になって、人の話を聞く楽しみが増えた。

気持ちの風通しが良くなると、「善い」ことがしたくなった。幼稚園児が習うようなことを。例えば挨拶。レジでは大きな声で言う。どうもありがとうございます。文末に音符のマークを3つも付けて。相手がいくら不機嫌そうでもお構いなしだ。

10年くらい前、私がまだスーツとブラウスで通勤しなければならなかったとき、駅で見知らぬ女性に声をかけられた。「あなたのそのハイヒール、ものすご素敵やわあ!」あの人もこういう感じだったのかもしれない。そのときの私はきっと、浮かない顔でとぼとぼ歩いていたと思う。出勤中の朝だった。お陰でその日一日頑張れた。

職場に流れるラジオから、奥田民生の声が聞こえてきた。「雨を浴びてもいいぜ 月を受けて走るぜ」と歌っていた。この曲を聴くといつも、「いいなあ」という気持ちが胸に広がる。私も「雨を浴びてもいいぜ」と言いたい。雨を浴びても、びしょ濡れになっても大丈夫な余裕が欲しい。

学生時代、バイト先の店長にミスを報告すると「かまへんかまへん」と言ってくれた。そのときも同じように「いいなあ」と思った。私もいつか、どんなにひどいことがあっても、やせ我慢でも、「かまへん」といって笑い飛ばせるようになりたいと思った。マッチョ趣味なのかもしれない。その後、「かまへん」は、おじさんが使いがちな関西弁だと知った。

職場の近くの路地で、スーツ姿の女性が台車を押しているのをよく見かける。近くに大手化粧品会社の事務所があって、そこに勤めているらしい。

台車には自社製品を山のように積んで、それをぐいぐいと押している。5センチ以上はある華奢なヒールのパンプスを履いて、セミロングの髪の毛を茶色に染めて、ごく僅かに香水の香りを漂わせている。モータープールの係員に笑顔で挨拶をし、荷物を車に積み込む。大股開きで、膝丈のスカートは股の間の布がピンと張って皺ができている。華奢な太ももと、小さなお尻のシルエットが露わになる。荷物の山と車のトランクを何往復もして、やっと荷物をすべて積み終わった。空になった台車のロックレバーをヒールで踏みつけて、ハンドルを折りたたむ。折りたたんだ台車を車のトランクに積み、ちょっと背伸びをしてリアゲートを引き寄せ、閉めた。バン!車の運転席に乗り込み、またモータープールの係員に笑顔で挨拶をして、ハンドルを大きく左に切って私の目の前を通り過ぎていった。

あの人の体脂肪率はどのくらいだろうか。25%よりずっと低いだろう。それなら筋肉量は?雨を浴びても、びしょ濡れになっても余裕だろうか。

私は職場がある階のフロアのトイレに入り、誰もいないのを確認して鏡の前でポーズをとった。足を前後に大きく開き、一旦体を前に屈めて背骨を脇にひねっていく。息を吐きながら。雑巾を絞るように。こうして腸腰筋を鍛えている。

トレーナーが言っていた。「腸腰筋はクリスティアーノ・ロナウドの脇腹のもっこりしたところです」。最近、お腹に薄っすら筋が浮かんできた。

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