2021-11-22

誠光社web《編集室》連載「和田夏十の言葉」第4回が更新されました

市川崑の映画で知られる脚本家・和田夏十をテーマにした連載エッセイが更新されました！

今回は、和田夏十唯一の単著『和田夏十の本』（2000年・晶文社）から、母としての彼女にスポットを当てます。

内容とは関係ないのですが、担当編集の方のツイッターの投稿が興味深かったので転載しておきたいと思います。

和田誠さんが亡くなった。和田さんで思い出すのは『和田夏十の本』を作った時のこと。和田夏十さんの著作権者の市川崑監督と監修の谷川俊太郎さんから「装丁は和田誠さんにお願いしたい」と言われた。困ったことに晶文社の本にはバーコードを入れることになっていた。そして会社からは「和田さんに
— 斉藤典貴❇︎사이토 노리타카❇︎SAITO, Noritaka (@noritakasaito) October 11, 2019

バーコードを入れてもらえ」と厳命された。和田さんに依頼すると「キミはバーコードがどこについていればいいか知ってるか？」と聞かれた。答えられずにいると「そんなことも知らないで頼みにきたのか！」と。それから30分ほど「バーコード講座」を受け、なんとか帯に入れることで了承していただいた。
— 斉藤典貴❇︎사이토 노리타카❇︎SAITO, Noritaka (@noritakasaito) October 11, 2019

ところが会社に戻ると、当時バーコードの旗振り役だった中村社長から「帯じゃなくてカバーに入れてもらえ」と言われ、泣きそうになりながら、再び和田さんのもとへ。あきれ顔の和田さんとまたしばらく話し合い。和田さんも市川監督と谷川さんからの依頼ということもあったからか、帯の下に隠れるように
— 斉藤典貴❇︎사이토 노리타카❇︎SAITO, Noritaka (@noritakasaito) October 11, 2019

入れることでなんとかOKをもらった。ホッとして会社に戻ると、今度は営業部長から「入れるんなら帯の下も、通常の位置も同じだろう」と。ブチ切れそうになった瞬間、津野さんの「いい加減にしろ！ようやくここまで斉藤が話をまとめてきたんだ。帯の下でいいだろう」とツルの一声で事態は収拾した。
— 斉藤典貴❇︎사이토 노리타카❇︎SAITO, Noritaka (@noritakasaito) October 11, 2019

そして、和田さんらしいレタリングで彩られた素敵なデザインをいただいた。無事に見本が出て、和田さんを訪ね「このたびは無礼な依頼にこたえていただき、ありがとうございました。おかげさまでステキな本になりました」とお渡しすると、「キレイな本になったね。また頼みにきてよ」と言われた。
— 斉藤典貴❇︎사이토 노리타카❇︎SAITO, Noritaka (@noritakasaito) October 11, 2019

「またバーコードを入れていただくことになりますが…」と応えると、「まったくキミは」と和田さんは苦笑いをされた。その後もう一冊お願いして、その時もバーコードを入れてもらった。そしてその時も終始、和田さんはおっかなくて、やさしい人だった。ありがとうございました。ご冥福をお祈りします。
— 斉藤典貴❇︎사이토 노리타카❇︎SAITO, Noritaka (@noritakasaito) October 11, 2019

『和田夏十の本』の装丁は、和田誠だったのでした。